みなさん、こんにちは猫丸です。
災害や空き巣などで被害を受けた時、その補填の出費って家計に重くのしかかりますよね。不可抗力で起きてしまったとはいえ、精神的にもつらいです。
そんな被害を受けてしまった人に国は「給付」ではなく、税金を安くする「控除」という形でサポートしてくれます。
雑損控除は適用範囲がかなり広く、もしかすると申請忘れがあるかもしれませんので要チェックですよ。
・雑損控除の基本的仕組み
・控除の対象になるものとならないものの違い
・申請忘れしていても遡って請求できること
雑損控除とは
雑損控除とは、災害や盗難で被害を受けた場合に一定の額を所得税から控除できることを言います。
簡単に言うと、被害にあったら可哀そうだから税金割引するねって感じです。
控除の対象となる条件
雑損控除の対象となる条件は以下の2点です。
②損害の原因が災害や盗難などであること
①通常の生活に必要な資産であること
読んで字のごとく、控除の対象となるのは日常生活を送る上でなかったら困るものです。住宅や家財道具、通勤で使う車などが当てはまります。
逆に対象とならないものは、贅沢品の類です。例えば、宝石や貴金属、別荘や投資用の不動産、高級車などが当てはまらない対象となります。
贅沢品は雑損控除にならないので他の保険に入っておくことが重要ですね。
②損害の原因が災害や盗難などであること
国税庁は雑損控除が使える損失の原因を以下のように定めています。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm
残念ながら、近年流行している詐欺や恐喝は対象外です。またアスベストの撤去費用が雑損控除になるのか裁判が過去にあり、認められないという判例がでています。
控除の対象となる気が付きにくい意外な事例
シロアリの駆除
実はシロアリの駆除に要した費用は雑損控除の適用が受けられます。これは①の通常の生活に必要な資産が住宅に該当するのと、②の害虫などの生物による災害に該当するためです。
しかし、すでにシロアリによって実害がでていることが条件とされ、シロアリを予防するための措置は雑損控除の対象外だと国税庁は見解を示しています。
国税庁 シロアリの駆除について
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/01.htm
ちなみにシロアリだけでなく、熊や鹿が家に侵入し物を壊した場合でも適用がされます。
海外旅行での現金の盗難
海外旅行では大体の人が専用の保険かクレカ付帯の保険を利用されると思います。
海外で盗難にあった場合は、これらの保険から補償があります。しかし、これらの保険では現金が盗まれた場合の補償がありません。
雑損控除で海外における現金の盗難は、①生活に必要な資産と、②盗難という2つの条件を満たしているため控除される可能性があります。
海外旅行中に泊まっている部屋に泥棒が入り現金が盗まれたり、強盗に襲われた場合は、現地の警察に相談し盗難証明書を発行してもらってください。
持っていた現金額を証明することは難しいので、必ず控除されるかはわかりませんが控除を申請するのは費用がかからないのでトライする価値があります。
しかし、置き引きや忘れたなど自分に非がある場合は、控除の対象にならないので注意してください。
雑損控除の請求期限はどれくらい?
雑損控除の対象について見てきました。
もしかすると過去にこんな事例が思い当たるなんてことがありますよね。
今更遅いなんて思わなくていいです。
雑損控除の還付請求権は、なんと5年もあります。
もしかすると対象になっているかもしれませんね。
雑損控除の金額の出し方
雑損控除の金額の出し方は以下の計算式のいずれか多い方が採用されます。
- (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
- (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
差引損失額=(損害金額+災害に関連した支出)-保険金などのお金
災害関連支出とは以下のことです。
・災害により損壊した住宅等の取壊し費⽤
・破損した住宅等を被災直前の状態に戻すための費⽤(原状回復費)
文字だけだと分かりづらいので実際の数字で試してみましょう。
事例 家のガラスが台風で割れた
①所得が500万円の家庭が
②台風の被害によって家のガラスが割れてしまった。損害金額は30万
③ガラスを新しくするのにかかった費用が50万かかった
④保険で10万貰った
というケースで考えてみます。まずは差引損失額を計算します。
(30万+50万)-10万=70万
差引損失額は70万円です。
計算式に当てはめましょう。
1.(70万)-(500万)×10%=20万
(差引損失額)-(総所得)×10%
2.(50万)-5万=45万
(災害関連支出)-5万
つまり、この事例の場合は、金額の大きい45万の控除が受けられることになります。
雑損控除まとめ
いかがだったでしょうか。
雑損控除は適用の範囲が広いですので、もし条件に当てはまるようなことが起きた場合は確定申告で雑損控除を申請してみてください。
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